自分の口に入れるもの、肌につけるもの、聴かせるもの・・
それらが自分の身体、心、感性を作っていくと分かった今でこそ
自分に与える物を選ぶようになったが、
10年前の私は違っていた。
当時、営業系の分析データ作成の仕事をしていた私は
毎日毎日朝から終電近くまで仕事に追われ、
追い詰められた気持ちで切れ目のない仕事をただこなすだけの毎日を送っていた。
当然、帰宅する頃にはぐったり・・・
とてもご飯を作って食べるような時間も気力もなく、
食事のほとんどが外食かコンビニ。
4,5時間の睡眠をやっと確保してまた出勤。
自分が自分に何をしているのか、全くわかっていなかった。
そんなある日、
いつものようにコンビニでランチを買い、
頭の中は次の仕事の事で頭いっぱいの状態で、お弁当を急いで口に運んでいた。
ふと一瞬、息をついた瞬間・・
「あれ、このハンバーグ、昨日の唐揚げと同じ味がする・・・」
確かに形はハンバーグだし、デミグラスソースかかっているし、
昨日の唐揚げだったし、塩味だったし、
でも・・・なんだか同じ物を食べている感じがする。
なんだろう、この感じ、、均一な何か。。
上辺の風味は違うが、ある一定のベースが同じ・・・・・?
その瞬間、そこにある物が食べ物に見えなくなった。
ハンバーグの形をした全く異なる物体に見えた。
私は、お弁当にかかっていたラップのラベルを見た。
沢山のカタカナがぎっしり羅列されている。
そっか・・・・。
たったこれだけのことだけれど、
世界が今まで思っていたようなものとは全く違うものに思えた。
私は今まで何を私に与えていたのだろう、と自分に驚愕した。
それからというもの、コンビニでお弁当を買うことが出来なくなった。
何かに心を奪われている状態とは恐ろしいもの。
自分に施すものは自分で責任を持たなくてはいけない。
ちゃんとその瞬間に集中していれば、自分にとっての真実は何なのか、自分が教えてくれる。
今、目の前に起こっていること、目の前にあるものを完全に体感し尽くしていれば、
もっと前にこの違和感に気付いていたのかもしれない。
いつも自分の中に答えがある。
自分は一番の自分の見方。
ちゃんと意識を向けてあげれば、いつも行く先を照らしてくれる。
私が私の人生の羅針盤。